- 企業がどんな人物を求めているのかわからない
- 転職してからミスマッチがあるか不安
- 経営状況など今後務める企業が安全か知りたい
企業分析をせずに就職活動を行っている方が多く、「思っていた条件と違った!」「イメージの雰囲気と違った!」とギャップに苦しんでいる方が多いです。私は現役ドラッグストアの管理薬剤師であり、転職で年収を150万円も上げることができました。趣味で常日頃からライバル企業の分析もしています。この記事では決算書をもとに企業を分析しています。決算書にはあなたが就職を希望する企業の詳細情報が丸裸に開示されています。この記事を読むことで企業の求める人物像や方向性がわかり、転職活動でライバルに「差」をつけることができます。
企業の基本情報
ウエルシアHDは業界No.1の売上高を誇るドラッグストア企業です。地域No.1の健康ステーションを目指して専門性と利便性を活かして地域・社会に貢献しています。独自のウエルシアモデルである「調剤併設」「カウンセリング営業」「介護」「深夜営業」の4本の柱で地域の生活を支えるドラッグストアとして存在しています。2014年にイオンの子会社となり、今後は業界2位のツルハドラッグと経営統合を行っていく予定です。
昨年度の実績
ウエルシアHD全体
2024年2月期の決算によるとウエルシアHDは売上高が1兆2173億円(前年比+6.4%)、営業利益が432億(前年比-5.3%)となり昨年度に比べてコロナ関連需要の反動減の影響を大きく受けて売上高が増加しましたが営業利益は減収となりました。なかでも調剤部門は前年比でも好調で成長を続けています。
調剤部門
調剤部門の売上高は2568億で前年比+12.6%と高い水準にも関わらず成長を続けています。
調剤併設の店舗数は2155店舗と増加し、調剤併設率も78.0%と右肩上がりです。処方箋単価は診療報酬改定により、落ち込みましたが、店舗数の増加による処方箋枚数UPによる成長と考えられます。
売上高の推移
ウエルシアHD全体
ウエルシアHDにおける直近10年間の売上高の推移です。ウエルシアHDの売上高はどこを切り取っても右肩上がりで安定した成長を続けています。
店舗数も着実に伸ばしており、企業として着実に力をつけてきています。
2015年5月期は決算期変更により6か月分の決算のため著しく売上高が低く反映されています。
調剤部門
調剤部門は直近5年の売上高の推移を示しています。店舗数・売上高ともに右肩上がりで成長を続けいています。
企業の安定性
ウエルシアHDは、自己資本比率が43%と自由に使えるお金はまずまずのところです。自己資本比率は、企業がどれだけ自前の資金で事業を運営できるかを示す指標であり、50%以上を維持している企業は財務の安定性が高いと言われています。43%でも十分高い数値といえますが、業界全体でみるとやや低い値です。ただし、この数値だけでは判断できません。成長をより加速するために借入を積極的に活用している企業もあるからです。ウエルシアHDは新規店舗の拡大やM&Aに対して積極的に行っており、多額の資金が必要になります。成長のためにリスクを取ることも企業の成長にとっては大事です。このような成長戦略で将来的に財務基盤が強化され、利益拡大につながり、業界1位という地位に君臨しています。
ウエルシアHDの営業キャッシュフローは465億2900万円に達しています。営業キャッシュフローは本業で得た現金の流れを示しており、これがプラスでかつ大きいということは、日々の事業活動が順調であることを意味します。ウエルシアHDは本業でも十分に利益を出しており、成長戦略も事業拡大のために積極的に行っている企業だと評価できます。
今後の経営戦略
ウエルシアHDの今後の経営戦略をそれぞれ解説していきます。OTC薬剤師として働くか、調剤部門で働くかで参考にするデータは異なってきます。
ウエルシアHDは今後の計画として2026年2月期には1兆5000億円規模となり、2030年には地域No.1の健康ステーションを目指して3兆円規模の企業へ成長している計画です。
【店舗戦略】
ウエルシアHDの出店については2025年2月期で102店舗の出店を計画しています。新規出店はもちろん、既存店の改装等による競争力も強化していく方針です。コクミンのノウハウを活用して都市型フォーマットの進化を行っていきます。
【調剤戦略】
↑↑直近5年間の調剤薬局の店舗と売上推移↑↑
ウエルシアHDでは調剤併設の推進と調剤業務高度化への対応を積極的に行っていきます。具体的な数値としては2025年2月期の調剤売上高計画は2785億円で前年比8.4%を見込んでいます。店舗数は2305店舗へと増やし、併設率も81.7%へ進めていく方針です。
現場の薬剤師の目標としては対人業務強化や、積極的なオンライン対応が挙げられます。現在マイナンバーや電子処方箋など急速なDX化が進んできているため柔軟な対応力が求められています。
また、業務効率化のため電子薬歴、OCRによる処方箋入力などのデジタルの活用を行って生産性を高めていく方針です。
OCR(Optical Character Recognition/Reader、オーシーアール)とは、光学的文字認識のことを指します。
手書きや印刷された文字を、イメージスキャナやデジタルカメラによって画像データとして読みとり、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術のこと
【収益強化】
ウエルシアHDの収益強化戦略は以下の通りです。
- 新レジシステム導入による作業効率、サービスの向上
- ワークスケジュール管理などによる人時コントロールの推進
- 自動発注
【PB戦略】
PB戦略は以下の通りです。
- PB売上構成比を9.2%へ向上
- メディアを活用したブランドマーケティングの強化
- 新ブランド「It‘s」の立ち上げ
【サステナビリティ】
ウエルシアHDのサステナビリティ戦略は以下の通りです。
- 移動販売者「うえたん号」の拡大
- 女性管理職登用の促進
ウエルシアHDでは「うえたん号」の中山間地域に加えて、都市部の団地など需要に合わせて地域の拡大を図っていく方針です。
また女性のキャリア形成の支援体制の充実もはかり、女性の管理職登用の促進も行っていく方針です。
うえたん号:地域社会への安心・安全を提供するウエルシアの移動販売車
「だれひとり取り残さないまち」を実現するため食品、日用品、一般医薬品といった幅広い生活必需品も取り扱っている。
経営戦略から導くウエルシア薬局が求める薬剤師像
ウエルシアHDが求めている人物像は決算資料や経営戦略からみえてきます。なぜならば企業というのは現在の姿と未来に描いている姿の差を埋めるために人材採用を行っているからです。
- 管理薬剤師(薬局長)やエリアマネージャーの出世意欲のある方
- かかりつけ薬剤師などアプリ活用による対人業務を積極的に行う意欲のある方
- リーディングカンパニーとして新しいことに挑戦できる方
- デジタル化により患者さんの多様なニーズに対応できる方
- ウエルカフェや地域No.1の健康ステーションとして健康サポートに積極的に取り組める方
管理薬剤師(薬局長)やエリアマネージャーの出世意欲のある方
ウエルシア薬局で求められる薬剤師として管理薬剤師やエリアマネージャーへ前向きな方が挙げられます。これはすでにある調剤部門のさらなる店舗拡大を戦略として掲げているためです。ウエルシア薬局は2024年時点ですでに2155店舗と他社に比べても別格で調剤部門の規模が大きいです。これだけの規模だと管理薬剤師やエリアマネージャーなど管理する立場の人も多く必要になります。今後さらなる成長を見据えており、長期的に管理者候補の需要はあると考えられます。出世意欲のあるような「キャリアアップしたい!」「挑戦してみたい!」など前向きに考えてくれる人であれば、企業も今後の成長のために採用を積極的に行うと考えられます。
かかりつけ薬剤師などアプリ活用による対人業務を積極的に行う意欲のある方
ウエルシア薬局で求められる薬剤師として対人業務を積極的に行う方が挙げられます。なぜならば、診療報酬改定対策、生き残れる調剤薬局としてかかりつけ機能が備わった薬局経営を行っていく必要性があるからです。また、ウエルシア薬局ではリーディングカンパニーとして様々なアプリが導入されています。調剤後のフォローアップをアプリで効率的に行うことで利用者のニーズに合ったサービスを提供することが可能です。今後必要となってくるのは患者満足度の高いサービスを提供できるような対人業務を積極的に行える人材といえます。
リーディングカンパニーとして新しいことに挑戦できる方
ウエルシアで需要のある人材は新しいことに積極的に挑戦できる方です。ウエルシアはリーディングカンパニーとして他社では導入していないシステムや取り組みなどを積極的に取り入れています。現場ではアプリを使いこなせていない薬剤師が多くいます。便利なシステムは使ってこそ価値があります。アプリに限らずウエルシア独自の「ウエルカフェ」「うえたん号」などの他社にはない取り組みもあります。差別化を図りウエルシアにしかない魅力を広げていくことが企業の成長へと繋がります。新しいことへのチャレンジ精神がある方はウエルシアにとって貴重な人材であるといえます。
デジタル化により患者さんの多様なニーズに対応できる方
ウエルシア薬局で需要のある人材は患者さんの多様なニーズに対応できる方です。これはウエルシア薬局に限らずドラッグストア業界全体にいえることですが、今後DX化が加速していきます。それに伴いAmazonや楽天などの大手がサービスを始めています。生き残るためにはいかに最新のサービスを乗りこなしていくかが大事になってきます。業界内でも多種多様なサービスを取り入れているのがウエルシア薬局です。患者の多様なニーズを逃さないための積極的にサービスの把握や患者さんへの推奨を行える方は目まぐるしく変わるドラッグ業界でも活躍できることでしょう。
健康サポートを積極的に取り組める方
ウエルシア薬局では健康サポートを積極的に取り組める方を求めています。これは2030年までの目標として「地域No.1の健康ステーション」として健康な生活サポート掲げているためです。すでに「ウエルカフェ」などの取り組みを行っており、地域住民に寄り添っています。地域活動を行うことで地域の方への認知度の上昇や、満足度の向上に繋がります。未病・予防・治療・介護のプロとして地域住民の健康をサポートできる方が求められています。
ウエルシア薬局への転職で登録すべき転職サイト5選
ドラッグストアの求人を多く持っている転職サイは比較的多くありますが、反対に全然ドラッグストア求人を持っていない転職サイトもあるため注意が必要です。
ドラッグストア業界は現在、業績も人気も伸ばしている業界になります。ドラッグストア業界はキャリアが様々あり、給与水準も高いためオススメの転職先です。ドラッグストア業界に転職を考えている場合、登録必須のおすすめ転職サイトをご紹介します。