- 企業がどんな人物を求めているのかわからない
- 転職してからミスマッチがあるか不安
- 経営状況など今後務める企業が安全か知りたい
企業分析をせずに就職活動を行っている方が多く、「思っていた条件と違った!」「イメージの雰囲気と違った!」とギャップに苦しんでいる方が多いです。私は現役ドラッグストアの管理薬剤師であり、転職で年収を150万円も上げることができました。趣味で常日頃からライバル企業の分析もしています。この記事では決算書をもとに企業を分析しています。決算書にはあなたが就職を希望する企業の詳細情報が丸裸に開示されています。この記事を読むことで企業の求める人物像や方向性がわかり、転職活動でライバルに「差」をつけることができます。
企業の基本情報
ツルハドラッグは、ツルハホールディングス株式会社が運営する日本の大手ドラッグストアチェーンです。1963年に北海道で設立され、現在では全国規模で展開しています。医薬品、日用品、食品、化粧品など、幅広い商品を取り扱っており、地域に根ざしたサービスを提供しています。
ツルハドラッグ、くすりの福太郎、TGN、レディ薬局、杏林堂薬局、B&D、ドラックイレブン
昨年度の実績
ツルハHD全体
2024年5月期の決算によるとツルハHDは売上高が10,274億円(前年比+5.9%)、営業利益が492億円(前年比+8.0%)となり昨年度に比べて成長を遂げています。売上高は初の1兆円を超えて、営業利益も過去最高の数値を出しています。
調剤部門
調剤部門の売上高は1259億6100万円で前年比+11.9%と好調に伸びています。
店舗数も936店舗とツルハHD全体で86店舗増えています。店舗数増加に伴う処方箋枚数の増加が売上UPに繋がっています。ツルハHDの計画店舗数としては1030店舗だったため、計画よりは大幅に届いていないのが現状となります
売上高と店舗数の推移
ツルハHD全体
ツルハHDにおける直近10年間の売上高の推移です。2022年5月期に減収がありましたが、右肩上がりで安定した成長を続けています。
店舗数も着実に伸ばしており、企業として着実に力をつけてきています。
調剤部門
調剤部門は直近5年の店舗数、売上高の推移を示しています。店舗数・売上高ともに右肩上がりで成長を続けいています。
企業の安定性
ツルハホールディングス(HD)は、安定した財務基盤を持つ企業です。その中でも注目すべきは、自己資本比率が51.3%と高水準にあることです。自己資本比率は、企業がどれだけ自前の資金で事業を運営できるかを示す指標であり、50%以上を維持しているツルハHDは、財務の安定性が高いといえます。外部からの借入に過度に依存していないため、経済的な不確実性があっても耐久性があります。
さらに、ツルハHDの営業キャッシュフローは519億6400万円に達しています。営業キャッシュフローは本業で得た現金の流れを示しており、これがプラスでかつ大きいということは、日々の事業活動が順調であることを意味します。この資金をもとに、ツルハHDは設備投資や新規出店、さらには株主への配当などを行うことが可能です。 総じて、ツルハHDは堅実な財務体質と安定したキャッシュフローを有し、今後の成長に向けた資金力もしっかり確保している企業と評価できます。
今後の経営戦略
ツルハHDの今後の経営戦略をそれぞれ解説していきます。OTC薬剤師として働くか、調剤部門で働くかで参考にするデータは異なってきます。
ツルハHDは今後ウエルシアHDを子会社化して経営統合を行っていく予定です。イオンの傘下に加わりアジアを見据えたグローバルな企業と成長していく計画です。
【店舗戦略】
ツルハHDの出店については量より質を上げていき、既存店の収益力改善を図る方針です。具体的な数値として2025年5月期にグループ全体で2750店舗と目標を掲げています。新しい地域に積極的に出店していくというよりは今ある地域のドミナント強化を行い、調剤併設店舗として1店舗あたりの収益を上げていく方針です。また、省エネLEDや、EMSの導入によりコストの削減も行っていく方針です。
EMSとは??
私たちが普段使用しているエネルギー(電気・ガス・水など)の使用状況を「見える化」し、分析・改善を行うためのシステム。
【調剤戦略】
調剤部門についての今後の方針です。多くの薬剤師にとっては1番重要な部分ですので必見です。
既存店への併設化をメインとして調剤薬局の出店を継続していく方針です。診療報酬改定など減算改定には薬局機能向上による加算の算定と応需枚数アップにより対応していく方針です。かかりつけ業務促進による加算算定の向上も目標として挙げられています。
2025年5月期までに調剤店舗1170店舗、売上高1400億円の計画です。
【PB戦略】
PB(プライベートブランド)戦略については以下の通りです。
- 2025年5月期 PB商品売上構成比を12%へ
- 大手メーカーとの共同商品開発推進
- 環境配慮型商品の開発
食品を中心とした商品開発を進め、PB 売上構成比は12.0%への向上を計画しています。また、大手メーカーと協業を図るとともに、ツルハHDへのストアロイヤリティの向上&既存PB品の売上強化に取り組んでいく計画です。
ストアロイヤリティとは??
消費者が特定の店舗に対して持っている信頼や愛着、親近感などを意味します。数ある店舗の中から特定の店舗を選んで継続的にその店舗で買い物をする傾向を指します。
【DX戦略】
DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略については以下の通りです。
- アプリ会員の拡大
- MAツールの活用による離脱率改善&来店促進
- BIツールによる経営数値の可視化
- 調剤オンラインなどのライフスタイル・社会変化への素早いキャッチアップ
当期の取り組みにより2024年5月期ではデジタル会員比率も45%となっており、順調に推移しています。今後もアプリの推進を行っていき、デジタル会員に向けたMAツールにより、個別対応した販促の実施をしていきます。
MAツール(マーケティングオートメーション)
新規顧客獲得や収益向上と業務の省力化を目的として、マーケティング活動を自動化、効率化するためツールのこと。
BIツール(ビジネスインテリジェンス)
社内に蓄積された様々なデータを集約し、共有・分析などを行うツールのこと。
【財務戦略】
財務戦略については以下の通りです。
- 営業利益率5%以上
- ROE10%
- 配当性向は50%~70%を目安に実施
成長投資を継続しつつ、収益性及び資本効率の改善を計画しています。
ROE(自己資本利益率)
株主から集めた自己資本を使ってどのくらい効率よく利益を上げることができているか示す数値
一般的には、ROEが10%を上回れば、投資価値のある優良な企業だとされています
経営戦略から導くツルハHDが求める薬剤師像
ツルハHDが求めている人物像は決算資料や経営戦略からみえてきます。なぜならば企業というのは現在の姿と未来に描いている姿の差を埋めるために人材採用を行っているからです。
- 管理薬剤師(薬局長)へ積極的に取り組もうと意欲のある方
- かかりつけ薬剤師など対人業務を積極的に行う意欲のある方
- 地域支援体制加算など数値目標の取り組みを積極的に行える方
管理薬剤師(薬局長)へ積極的に取り組もうと意欲のある方
ツルハHDで求められる薬剤師として管理薬剤師へ前向きな方が挙げられます。これは調剤部門の今後の戦略として店舗数の増加を掲げているためです。単純に936店舗→1170店舗に増やす場合234店舗を新規開局する必要があります。それに伴い234名の管理薬剤師が必要となります。管理薬剤師は店舗の管理者という立場にもなり、責任も伴うことから不安で躊躇する方や、やりたくないと拒否する方も多いです。そんな中、「キャリアアップしたい!」「挑戦してみたい!」など前向きに考えてくれる人であれば、企業も今後の成長のために採用を積極的に行うと考えられます。
かかりつけ薬剤師など対人業務を積極的に行う意欲のある方
ツルハHDで求められる薬剤師として対人業務を積極的に行う方が挙げられます。なぜならば、診療報酬改定による減収対策、生き残れる調剤薬局としてかかりつけ機能が備わった薬局経営を行っていく必要性があるからです。かかりつけ薬剤師になるために日本研修センターの認定薬剤師になる必要があり、企業によっては認定資格を持っていることも評価の対象となるでしょう。また、地域活動として健康相談会や認知症カフェへの参加などイベント参加への積極性も重要視されると考えられます。
地域支援体制加算など数値目標の取り組みを積極的に行える方
ツルハHDで求められる薬剤師として数値目標に対して積極的に取り組める方が挙げられます。これは「地域支援体制加算」、「後発医薬品調剤体制加算」、「医療DX推進体制整備」等の各種加算の算定による収益増加に繋がるためです。実際に調剤戦略の中にも薬局機能向上による各種加算の算定が挙げられています。それぞれの加算を算定するためには薬局としてクリアするべき数値目標があります。そこに標準を合わせて積極的に行動できる方は需要が高いです。転職前にみる内容としてはハイレベルな中身ですが、面接時に少しでも触れることができれば評価が上がると考えられます。
ツルハHDへの転職で登録すべき転職サイト5選
ドラッグストアの求人を多く持っている転職サイは比較的多くありますが、反対に全然ドラッグストア求人を持っていない転職サイトもあるため注意が必要です。
ドラッグストア業界は現在、業績も人気も伸ばしている業界になります。ドラッグストア業界はキャリアが様々あり、給与水準も高いためオススメの転職先です。ドラッグストア業界に転職を考えている場合、登録必須のおすすめ転職サイトをご紹介します。