- 企業がどんな人物を求めているのかわからない
- 転職してからミスマッチがあるか不安
- 経営状況など今後務める企業が安全か知りたい
企業分析をせずに就職活動を行っている方が多く、「思っていた条件と違った!」「イメージの雰囲気と違った!」とギャップに苦しんでいる方が多いです。私は現役ドラッグストアの管理薬剤師であり、転職で年収を150万円も上げることができました。趣味で常日頃からライバル企業の分析もしています。この記事では決算書をもとに企業を分析しています。決算書にはあなたが就職を希望する企業の詳細情報が丸裸に開示されています。この記事を読むことで企業の求める人物像や方向性がわかり、転職活動でライバルに「差」をつけることができます。
企業の基本情報
サンドラッグは1965年に設立された日本の大手ドラッグストアチェーンです。サンドラッグはお客様へ「安心・信頼・便利」を提供し、全国へ幅広く事業を展開しています。ディスカウントストアへの参入も行っており、ドラッグストア事業とディスカウント事業の2本柱で成長を続けている企業です。
【ドラッグストア事業】
サンドラッグ、星光堂薬局、サンドラッグプラス、サンドラッグファーマシーズ、株式会社大屋
【ディスカウント事業】
ダイレックス
昨年度の実績
サンドラッグ全体
2024年3月期の決算によるとサンドラッグは売上高が7,517億円(前年比+8.9%)、営業利益が409億円(前年比+9.5%)となり昨年度に比べて成長を遂げています。繁華街のインバウンド化、コロナの出口戦略として化粧品需要の回復、新規出店などが売上高に繋がっています。新規出店については過去最高の110店舗の出店を行いました。
調剤部門
調剤部門の売上高は142億6000万円で前年比+20.5%と成長過程にあり、伸び率が高いです。
店舗数は187店舗とサンドラッグ系列全体で40店舗増えています。店舗数増加に伴う処方箋枚数の増加が売上UPに繋がっています。前年度の計画では36店舗の開局予定だったので計画以上に好調に伸びているのがわかります。
売上高の推移
サンドラッグ全体
サンドラッグにおける直近10年間の売上高の推移です。サンドラッグの売上高はどこを切り取っても右肩上がりで安定した成長を続けています。
店舗数も着実に伸ばしており、企業として着実に力をつけてきています。
調剤部門
調剤部門は直近3年の売上高の推移を示しています。店舗数・売上高ともに右肩上がりで成長を続けいています。
企業の安定性
サンドラッググループは、安定した財務基盤を持つ企業です。その中でも注目すべきは、自己資本比率が60.2%と高水準にあることです。自己資本比率は、企業がどれだけ自前の資金で事業を運営できるかを示す指標であり、50%以上を維持しているサンドラッグは、財務の安定性が高いといえます。外部からの借入に過度に依存していないため、経済的な不確実性があっても耐久性があります。
さらに、サンドラッグの営業キャッシュフローは411億8800万円に達しています。営業キャッシュフローは本業で得た現金の流れを示しており、これがプラスでかつ大きいということは、日々の事業活動が順調であることを意味します。この資金をもとに、サンドラッグは設備投資や新規出店、さらには株主への配当などを行うことが可能です。 総じて、サンドラッグは堅実な財務体質と安定したキャッシュフローを有し、今後の成長に向けた資金力もしっかり確保している企業と評価できます。
2024年は投資に対しても積極的に行っており、その額は昨年の倍以上である748億5000万円です。これは2024年2月にキリン堂グループの株を大きく購入することで今後の成長につなげようとしているためです。キリン堂HDは売上高約1400億円の事業規模であり、資本業務提携をすることでそれぞれの強みが生かせる企業となっています。キリン堂HDは近畿エリアを中心に店舗展開をしており、サンドラッグとは出店エリアに重複が少なく、直接競合することが少ないこともメリットとして挙げられます。
今後の経営戦略
サンドラッグの今後の経営戦略をそれぞれ解説していきます。OTC薬剤師として働くか、調剤部門で働くかで参考にするデータは異なってきます。
サンドラッグはキリン堂HDの株式を33.4%保有したことで資本業務提携をしました。今後さらなる飛躍が見込めると考えられます。
【店舗戦略】
サンドラッグの出店については開発人員の増加を行い、出店基準も維持しつつ、店舗数の増加を図る方針です。具体的な数値として2026年3月期にグループ全体で1750店舗と目標を掲げています。具体的な出店計画としては2025年3月期にはドラッグストア事業で85店舗、ディスカウント事業(ダイレックス)で35店舗の出店を計画しています。店舗の純増数としては105店舗が計画とされています。
【調剤戦略】
↑↑直近3年間の調剤薬局の店舗と売上推移↑↑
調剤部門についての今後の方針です。多くの薬剤師にとっては1番重要な部分です。サンドラッグは今後も調剤部門の拡大を計画しています。具体的な取り組み内容としては調剤店舗の出店、薬局機能向上による報酬改定へのの対応です。それぞれ詳しくみていきます。
調剤出店計画
サンドラッグは併設店を中心として出店の加速を行っていく予定です。2026年度目標としては併設率を14.4%→24.7%まで上げていく方針です。また、新規エリア出店も積極的に行っていく予定であり、2025年3月期には単独店を2店舗、併設店舗を43店舗開局していく計画です。
薬局機能向上
診療報酬改定に伴う対応として薬局機能の向上が今後の調剤戦略として挙げられます。薬局機能の向上として「DXの推進」「地域・社会への貢献」が挙げられます。
- 楽天ヘルスケア ヨヤクスリの全店導入
- オンライン服薬指導システムの全店導入
- オンライン資格確認(マイナ保険証利用推進)
- 電子処方箋システムの導入
上記がサンドラッグが掲げている調剤薬局DX推進の戦略です。2024年10月より「医療DX推進体制整備加算」が少し変わります。電子処方箋を受け付けられる体制や、マイナ保険証利用率も算定条件として必要になってきます。
その他にも「健康フェアの開催」、「かかりつけ薬剤師の育成」、「在宅の拡大」が挙げられています。これはかかりつけの条件と、地域支援体制加算の条件をクリアするためのものです。薬局機能向上で患者さんから必要とされる薬局づくり&処方箋単価を上げて生産性向上の戦略です。
【経営基盤強化】生産性向上
生産性向上のための経営基盤強化戦略については以下の通りです。
- 電子棚札導入
- 賞味期限管理システムの導入
電子棚札の導入によりショーカードの設置作業の削減や表示価格の変更&反映の効率化が行え、販促表示の効率化にもつながります。これを2025年3月期に300店舗導入の計画です。
また、賞味期限管理システムは現状のペーパー管理の運用を変更してタブレット等で管理することで管理時間の削減や作業制度の向上につなげていく方針です。
【EC戦略】
EC(Electronic Commerce)戦略については以下の通りです。
- 顧客体験の向上
当日発送・日付指定サービスの開始
冷凍食品などの品揃え強化等 - 生産性の向上
拠点分散による配送コストの削減
適正在庫、コスト最適化
自動化ツール導入によるマーケティング施策
上記がEC事業の戦略の一部です。取り扱いアイテムを1.5倍、当日配送比率22%、配送費8%カットなど顧客体験、満足度&生産性の向上に努めていく計画です。
EC事業とは?
インターネットを通じて商品やサービスを販売するビジネスのことです。
【事業戦略】
事業戦略のキリン堂HDとの資本業務提携により、さらなる成長を目指していく計画です。
キリン堂ホールディングス
大阪に本社を置いており近畿エリアを中心に412店舗を展開。ドラッグストア及び保険調剤薬局等における医薬品、健康食品、化粧品、育児用品、雑貨等の販売事業等を営み、売上高約1400億円の事業規模。
経営戦略から導くサンドラッグが求める薬剤師像
サンドラッグが求めている人物像は決算資料や経営戦略からみえてきます。なぜならば企業というのは現在の姿と未来に描いている姿の差を埋めるために人材採用を行っているからです。
- 管理薬剤師(薬局長)へ積極的に取り組もうと意欲のある方
- かかりつけ薬剤師など対人業務を積極的に行う意欲のある方
- 地域支援体制加算など数値目標の取り組みを積極的に行える方
- 電子化など新しいことに積極的に取り組める方
- 健康フェアなど地域活動に積極的に取り組める方
- 在宅医療に興味のある方
管理薬剤師(薬局長)へ積極的に取り組もうと意欲のある方
サンドラッグで求められる薬剤師として管理薬剤師へ前向きな方が挙げられます。これは調剤部門の今後の戦略として店舗数の増加を掲げているためです。出店計画より45店舗を新規開局する計画のため、それに伴い45名の管理薬剤師が必要となります。サンドラッグの調剤部門は発展途上であり、2024年時点で187店舗です。今後も長期的に伸びていく可能性が高く、長期的に管理者候補の需要はあると考えられます。管理薬剤師は店舗の管理者という立場にもなり、責任も伴うことから不安で躊躇する方や、やりたくないと拒否する方も多いです。そんな中、「キャリアアップしたい!」「挑戦してみたい!」など前向きに考えてくれる人であれば、企業も今後の成長のために採用を積極的に行うと考えられます。
かかりつけ薬剤師など対人業務を積極的に行う意欲のある方
サンドラッグで求められる薬剤師として対人業務を積極的に行う方が挙げられます。なぜならば、診療報酬改定対策、生き残れる調剤薬局としてかかりつけ機能が備わった薬局経営を行っていく必要性があるからです。かかりつけ薬剤師になるために日本研修センターの認定薬剤師になる必要があり、企業によっては認定資格を持っていることも評価の対象となるでしょう。今後必要となってくるのは患者満足度の高いサービスを提供できるような対人行を積極的に行える人材といえます。
地域支援体制加算など数値目標の取り組みを積極的に行える方
サンドラッグで求められる薬剤師として数値目標に対して積極的に取り組める方が挙げられます。これは「地域支援体制加算」、「後発医薬品調剤体制加算」、「医療DX推進体制整備」等の各種加算の算定による収益増加に繋がるためです。実際に調剤戦略の中にも薬局機能向上による各種加算の算定が挙げられています。それぞれの加算を算定するためには薬局としてクリアするべき数値目標があります。そこに標準を合わせて積極的に行動できる方は需要が高いです。転職前にみる内容としてはハイレベルな中身ですが、面接時に少しでも触れることができれば評価が上がると考えられます。
電子化など新しいことに積極的に取り組める方
サンドラッグで需要のある人材は新しいことにも柔軟に対応できる方です。これはサンドラッグに限らずドラッグストア業界全体にいえることですが、今後DX化が加速していきます。それに伴いAmazonや楽天などの大手がサービスを始めています。生き残るためにはいかに最新のサービスを乗りこなしていくかが大事になってきます。積極的にサービスの把握や患者さんへの推奨を行える方は目まぐるしく変わるドラッグ業界でも活躍できることでしょう。
健康フェアなど地域活動に積極的に取り組める方
サンドラッグでは地域活動を積極的に取り組むことができる方が求められています。地域活動を行うことで地域の方への認知度の上昇や、満足度の向上に繋がります。ファンを増やすことでリーピーター増加による増収に繋がる可能性もあります。また、かかりつけ薬剤師になるための条件としても複数の地域活動を行うこととされているため収益UPに直結する大事な業務でもあります。ゆえに地域活動など薬局主催のイベントを積極的に行うことができる薬剤師が求められています。
在宅医療に興味のある方
サンドラッグが求めている人材として在宅医療に興味のある方が挙げられます。すでに日本の人口に占める高齢者の割合が増えてきており在宅医療の需要が高いのも理由の一つです。もう一つの理由として、薬局の機能向上にも繋がるからです。薬局機能向上の中には「地域支援体制加算」があり、この加算を取得するための条件に在宅医療の件数があります。国が今後の医療体制として必要な機能であるため条件として加えています。機能向上のためサンドラッグでは在宅医療を積極的に行う方が求められています。
サンドラッグへの転職で登録すべき転職サイト5選
ドラッグストアの求人を多く持っている転職サイは比較的多くありますが、反対に全然ドラッグストア求人を持っていない転職サイトもあるため注意が必要です。
ドラッグストア業界は現在、業績も人気も伸ばしている業界になります。ドラッグストア業界はキャリアが様々あり、給与水準も高いためオススメの転職先です。ドラッグストア業界に転職を考えている場合、登録必須のおすすめ転職サイトをご紹介します。