- 企業がどんな人物を求めているのかわからない
- 転職してからミスマッチがあるか不安
- 経営状況など今後務める企業が安全か知りたい
企業分析をせずに就職活動を行っている方が多く、「思っていた条件と違った!」「イメージの雰囲気と違った!」とギャップに苦しんでいる方が多いです。私は現役ドラッグストアの管理薬剤師であり、転職で年収を150万円も上げることができました。趣味で常日頃からライバル企業の分析もしています。この記事では決算書をもとに企業を分析しています。決算書にはあなたが就職を希望する企業の詳細情報が丸裸に開示されています。この記事を読むことで企業の求める人物像や方向性がわかり、転職活動でライバルに「差」をつけることができます。
企業の基本情報
スギ薬局は1976年に愛知県で創業され、地域密着型の薬局として成長を続けている企業です。トータルヘルスケア戦略に基づき、医薬品・健康食品・化粧品・日用品を販売しています。また、処方せん調剤や地域の医療関係者と連携した在宅医療に取り組む『調剤併設型ドラッグストア』の経営ほか、お客様の健康維持・予防までを一貫してサポートして地域社会に貢献できる各種サービスを提供している企業です。
昨年度の実績
スギHD全体
2024年2月期の決算によるとスギHDは売上高が7,444億円(前年比+11.5%)、営業利益が366億(前年比+15.7%)となり昨年度に比べて2ケタ増の好調な成長を遂げています。インバウンド需要の取り組みに向けて都市部への出店増加、物販における季節商品の需要拡大も影響しています。また、調剤部門でも風邪やインフルエンザの流行期間が長期化したことで処方箋の応需枚数がUPしたことで収益が増加しています。既存店の成長を背景に過去最高益を更新しています。
調剤部門
調剤部門の売上高は1587億で前年比+11.5%と高い水準にも関わらず成長を続けています。
調剤併設の店舗数は1283店舗と増加し、調剤併設率はスギ薬局内でみると81.8%と高いです。スギ薬局だけでも63店舗増えています。
売上高の推移
スギHD全体
スギHDにおける直近10年間の売上高の推移です。スギHDの売上高はどこを切り取っても右肩上がりで安定した成長を続けています。
店舗数も着実に伸ばしており、企業として着実に力をつけてきています。
調剤部門
調剤部門は直近5年の売上高の推移を示しています。店舗数・売上高ともに右肩上がりで成長を続けいています。
企業の安定性
スギHDは、安定した財務基盤を持つ企業です。その中でも注目すべきは、自己資本比率が59.8%と高水準にあることです。自己資本比率は、企業がどれだけ自前の資金で事業を運営できるかを示す指標であり、50%以上を維持しているスギHDは、財務の安定性が高いといえます。外部からの借入に過度に依存していないため、経済的な不確実性があっても耐久性があります。
さらに、スギHDの営業キャッシュフローは390億4100万円に達しています。営業キャッシュフローは本業で得た現金の流れを示しており、これがプラスでかつ大きいということは、日々の事業活動が順調であることを意味します。この資金をもとに、スギHDは設備投資や新規出店、さらには株主への配当などを行うことが可能です。 総じて、スギHDは堅実な財務体質と安定したキャッシュフローを有し、今後の成長に向けた資金力もしっかり確保している企業と評価できます。
今後の経営戦略
スギHDの今後の経営戦略をそれぞれ解説していきます。OTC薬剤師として働くか、調剤部門で働くかで参考にするデータは異なってきます。
スギ薬局は2026年に創業50周年を迎えます。その50周年に合わせて2026年度の売上高1兆円を目指して事業計画を立てています。今後の成長戦略としては新規出店はもちろん、デジタル、ヘルスケア、海外、M&Aにシフトしていく予定です。
【店舗戦略】
スギ薬局の出店については2025年2月期で120店舗の出店を計画しています。その他にも無借金経営からM&A戦略などを積極的に行うスタイルへ変わっていきます。
2024年8月には阪神に拠点をもつI&Hグループを子会社化しています。
I&Hグループは、調剤事業を中心に、介護・福祉、ヘルスケア、医師開業支援、栄養ケアなど多岐にわたる事業を展開する総合ヘルスケア企業です。全国に調剤薬局を展開し、薬の提供だけでなく、接遇サービスの向上や管理栄養士による栄養相談など、地域に根ざした医療・介護サービスを提供し、健康寿命の延伸に貢献しています。
【調剤戦略】
↑↑直近5年間の調剤薬局の店舗と売上推移↑↑
スギ薬局では2025年の計画として「全薬局がかかりつけ機能をもつ」ことを掲げています。また、国が掲げるように電子処方箋やオンライン服薬指導などの医療DXにも注力し、対人業務、在宅医療にも力を入れていく必要だとしています。
【経営基盤強化】生産性向上
スギ薬局の経営基盤強化戦略については以下の通りです。
- 生産性の高い組織、業務の実現
- 投資効率の高い新規出店、既存店改装の実施
- 次世代に向けた組織、人財の強化
2023年度ですでに「土台づくり」は完了しています。これからは売上高1兆円に向けた成長戦略となります。データに基づく経営、コスト構造の改革、人財・組織の強化を戦略として成長を計画しています。
【成長戦略】
DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略については以下の通りです。
- DX活用による顧客体験の変革
デジタルによる顧客体験の進化
ONE to ONEマーケティングの展開
デジタル会員拡大と調剤利用率向上 - ヘルスケア領域の深耕
ヘルスケア基軸での出店
スギ薬局版地域包括ケアモデルの構築
生産性の高い組織、業務の実現
スギ薬局では「いつでも、どこでも、手のひらにスギ薬局」をモチーフにアプリの機能拡張や改修を行っていく予定です。購買履歴に合わせたクーポンの配信や健康維持の情報発信などONE to ONEマーケティングの展開も行っていく予定です。
調剤部門でも電子処方箋の運用本格化などもあり、DX化が著しく加速しています。
ONE to ONEマーケティングとは??
ONE to ONEマーケティングとは消費者ひとりひとりの購買傾向からニーズを解析し、個々に対して最適なコミュニケーションを行うマーケティング活動のことを指します。
経営戦略から導くスギ薬局が求める薬剤師像
スギHDが求めている人物像は決算資料や経営戦略からみえてきます。なぜならば企業というのは現在の姿と未来に描いている姿の差を埋めるために人材採用を行っているからです。
- 管理薬剤師(薬局長)やエリアマネージャーの出世意欲のある方
- かかりつけ薬剤師など対人業務を積極的に行う意欲のある方
- トータルヘルスケア戦略で多職種連携ができる方
- 電子化など新しいことに積極的に取り組める方
- 健康フェアなど地域活動に積極的に取り組める方
- 在宅医療に興味のある方
管理薬剤師(薬局長)やエリアマネージャーの出世意欲のある方
スギ薬局で求められる薬剤師として管理薬剤師やエリアマネージャーへ前向きな方が挙げられます。これはすでにある調剤部門のさらなる店舗拡大を戦略として掲げているためです。スギ薬局は2024年時点ですでに1283店舗と調剤部門の規模が大きいです。そのため管理薬剤師の数もそれを管理するエリアマネージャーの数も多く必要になります。今後も長期的に伸びていく可能性が高く、長期的に管理者候補の需要はあると考えられます。出世意欲のあるような「キャリアアップしたい!」「挑戦してみたい!」など前向きに考えてくれる人であれば、企業も今後の成長のために採用を積極的に行うと考えられます。
かかりつけ薬剤師など対人業務を積極的に行う意欲のある方
スギ薬局で求められる薬剤師として対人業務を積極的に行う方が挙げられます。なぜならば、診療報酬改定対策、生き残れる調剤薬局としてかかりつけ機能が備わった薬局経営を行っていく必要性があるからです。また、スギ薬局では全店舗にかかりつけ機能をもつことを目標としています。ゆえに今後必要となってくるのは患者満足度の高いサービスを提供できるような対人業務を積極的に行える人材といえます。
トータルヘルスケア戦略で多職種連携ができる方
スギ薬局では地域の生活者の病気予防や健康管理に生涯にわたって関わっていくトータルヘルスケア戦略を目指しています。このトータルヘルスケアはスギ薬局を中心に健診センターや介護施設、フィットネスジムや行政機関など幅広い職種と協力し、ヘルスケアネットワークの拡大へ取り組んでいます。そのため患者さん一人ひとりとしっかりと向き合いながら、他の職種の方々ともコミュニケーションが上手く取れる方がスギ薬局では活躍できると考えられます。
電子化など新しいことに積極的に取り組める方
スギ薬局で需要のある人材は新しいことにも柔軟に対応できる方です。これはスギ薬局に限らずドラッグストア業界全体にいえることですが、今後DX化が加速していきます。それに伴いAmazonや楽天などの大手がサービスを始めています。生き残るためにはいかに最新のサービスを乗りこなしていくかが大事になってきます。積極的にサービスの把握や患者さんへの推奨を行える方は目まぐるしく変わるドラッグ業界でも活躍できることでしょう。
健康フェアなど地域活動に積極的に取り組める方
スギ薬局では地域活動を積極的に取り組むことができる方が求められています。地域活動を行うことで地域の方への認知度の上昇や、満足度の向上に繋がります。ファンを増やすことでリーピーター増加による増収に繋がる可能性もあります。また、かかりつけ薬剤師になるための条件としても複数の地域活動を行うこととされているため収益UPに直結する大事な業務でもあります。ゆえに地域活動など薬局主催のイベントを積極的に行うことができる薬剤師が求められています。
在宅医療に興味のある方
スギ薬局が求めている人材として在宅医療に興味のある方が挙げられます。すでに日本の人口に占める高齢者の割合が増えてきており在宅医療の需要が高いのも理由の一つです。もう一つの理由として、薬局の機能向上にも繋がるからです。薬局機能向上の中には「地域支援体制加算」があり、この加算を取得するための条件に在宅医療の件数があります。国が今後の医療体制として必要な機能であるため条件として加えています。機能向上のためスギ薬局では在宅医療を積極的に行う方が求められています。
スギ薬局への転職で登録すべき転職サイト5選
ドラッグストアの求人を多く持っている転職サイは比較的多くありますが、反対に全然ドラッグストア求人を持っていない転職サイトもあるため注意が必要です。
ドラッグストア業界は現在、業績も人気も伸ばしている業界になります。ドラッグストア業界はキャリアが様々あり、給与水準も高いためオススメの転職先です。ドラッグストア業界に転職を考えている場合、登録必須のおすすめ転職サイトをご紹介します。