- 企業がどんな人物を求めているのかわからない
- 転職してからミスマッチがあるか不安
- 経営状況など今後務める企業が安全か知りたい
企業分析をせずに就職活動を行っている方が多く、「思っていた条件と違った!」「イメージの雰囲気と違った!」とギャップに苦しんでいる方が多いです。私は現役ドラッグストアの管理薬剤師であり、転職で年収を150万円も上げることができました。趣味で常日頃からライバル企業の分析もしています。この記事では決算書をもとに企業を分析しています。決算書にはあなたが就職を希望する企業の詳細情報が丸裸に開示されています。この記事を読むことで企業の求める人物像や方向性がわかり、転職活動でライバルに「差」をつけることができます。
企業の基本情報
クスリのアオキは1869年に石川県で創業し、1985年にドラッグストア「クスリのアオキ」を設立。クスリのアオキは「健康と美と衛生を通じて社会から期待される企業作りを目指すこと」という経営理念のもと、医薬品や化粧品を中心に日用品や食品を扱うドラッグストア事業を展開しています。クスリのアオキは出店立地の環境に応じて売場面積150坪から500坪の範囲で店舗展開を進め、北信越や関東を中心にドミナント展開している企業です。
昨年度の実績
クスリのアオキHD全体
2024年5月期の決算によるとクスリのアオキHDは売上高が4368億円(前年比+15.3%)、営業利益が185億(前年比21.4%)とコロナ関連商材の反動がありましたが、風邪やインフルエンザの流行により風邪薬の販売が好調だったため売り上げの増加につながっています。コロナの人流回復に伴う化粧品&猛暑によるシーズン商品の販売も好調でした。
調剤部門
調剤部門の売上高は461億で前年比+7.7%と高い水準にも関わらず成長を続けています。
調剤併設の店舗数は594店舗と増加し、調剤併設率も63.5%と右肩上がりです。
売上高の推移
クスリのアオキHD全体
クスリのアオキHDにおける直近7年間の売上高の推移です。クスリのアオキHDの売上高はどこを切り取っても右肩上がりで安定した成長を続けています。
調剤部門
調剤部門は直近5年の売上高の推移を示しています。店舗数・売上高ともに右肩上がりで成長を続けいています。
企業の安定性
クスリのアオキHDは、自己資本比率が36.4%と自由に使えるお金はまずまずのところです。自己資本比率は、企業がどれだけ自前の資金で事業を運営できるかを示す指標であり、50%以上を維持している企業は財務の安定性が高いと言われています。36.4%でも十分高い数値といえますが、業界全体でみるとやや低い値です。ただし、この数値だけでは判断できません。今回クスリのアオキの投資資金は、211億円(ほぼ前年と変わらず)となりました。これは主に、新規出店に伴う支出額(196億円)によるものです。クスリのアオキHDは経営基盤のさらなる強化のため出店や既存店の改装など業績向上を図るために投資を行っていくと考えています。未来のための資金をうまく回しながら事業拡大を行っていく方針です。
クスリのアオキHDの営業キャッシュフローは268億6400万円に達しています。営業キャッシュフローは本業で得た現金の流れを示しており、これがプラスでかつ大きいということは、日々の事業活動が順調であることを意味します。クスリのアオキHDは本業でも十分に利益を出しており、成長戦略も事業拡大のために積極的に行っている企業だと評価できます。
今後の経営戦略
クスリのアオキHDの今後の経営戦略をそれぞれ解説していきます。OTC薬剤師として働くか、調剤部門で働くかで参考にするデータは異なってきます。
クスリのアオキHDは今後の計画として2026年5月期の売上高5,000億円を掲げています。
【店舗戦略】
クスリのアオキHDは第二次中期経営計画の高速出店・出店エリア拡大により、北陸を地盤に東北、関東から東海近畿に及ぶ24府県においてドラッグストア936店舗を展開しています。(内調剤併設店594店舗、調剤専門薬局6店舗、スーパーマーケット11店舗)
人口減少や店舗過剰、高齢化などの要因により、商圏が狭くなりつつあるドラッグストア業界。クスリのアオキは高速出店から「ドミナント戦略」に切り替え、地域シェアを更に拡大し、利便性を提供していく方針です。
【調剤戦略】
↑↑直近5年間の調剤薬局の店舗と売上推移↑↑
クスリのアオキHDでは調剤併設の推進を積極的に行っていきます。具体的な数値としては2025年5月期の出店計画は70店舗であり、併設率66.0%へ進めていく方針です。2026年5月期には併設率70%を目標としています。
店舗数増加や機能拡大のため、薬剤師採用や教育体制の強化も行っていく方針です。調剤部門については今後もこうそく開局を行い、管理薬剤師の需要も高まっていくと考えられます。
調剤併設率向上とともに、セルフメディケーションのサポートやかかりつけ薬剤師による一元管理体制の構築、在宅医療の強化など地域住民に必要とされる機能拡充を目指していく方針です。
【事業戦略】
クスリのアオキHDの事業戦略は以下の通りです。
- 生鮮の取り扱いにより、ワンストップショッピングを実現
- 2025年5月期に、小型店を除き、全店舗で青果・精肉の取り扱う方針
- 2025年5月期末には惣菜 全店導入予定(※小型店を除く)
- ハイ・ロー戦略からエブリデイ・ロー・プライス戦略へ移行
クスリのアオキは生鮮を取り扱うことで利便性の向上を図っていく方針です。小型店を除き、全店舗にて青果・精肉・惣菜を導入してワンストップショッピングの実現により利便性を上げていきます。
ハイ・ロー戦略からエブリデイ・ロー・プライス戦略へ移行していく方針です。エブリデイ・ロー・プライスはその名の通り「毎日安い!」を売りにする価格戦略です。クスリのアオキは定番売場の強化により、人時生産性の改善を狙っています。
ワンストップショッピングとは、様々な商品を1か所で購入できることを指します。ワンストップショッピングのメリットは、お客さんの時間や労力を節約でき、利便性が向上することです。
ハイ&ロー戦略とは、価格政策の1つで、特定商品を一定期間値引き販売する販売手法のことです。1つの商品が日によって価格に高低があることから、ハイ&ロー戦略といいます。典型例が「スーパーのチラシ」販促であり、「目玉商品」で集客を図り、「来店促進によって通常価格商品のついで買いをねらう」「店の認知度を高める」「『安いお店である』とお客に印象づける」といった利点があります。
経営戦略から導くクスリのアオキが求める薬剤師像
クスリのアオキHDが求めている人物像は決算資料や経営戦略からみえてきます。なぜならば企業というのは現在の姿と未来に描いている姿の差を埋めるために人材採用を行っているからです。
- 管理薬剤師(薬局長)へ積極的に取り組もうと意欲のある方
- かかりつけ薬剤師などの対人業務を積極的に行う意欲のある方
- セルフメディケーションのサポートを積極的に行うことができる方
- 在宅医療や介護に興味があり、積極的に取り組める方
管理薬剤師(薬局長)へ積極的に取り組もうと意欲のある方
クスリのアオキで求められる薬剤師として管理薬剤師へ前向きな方が挙げられます。これは調剤部門の今後の戦略として高速出店による調剤併設率の向上を掲げているためです。2025年の出店計画は70店舗を新規開局する計画のため、それに伴い70名の管理薬剤師が必要となります。クスリのアオキの調剤部門は高速出店途中であり、今後も管理薬剤師の需要は高いです。管理薬剤師は店舗の管理者という立場にもなり、責任も伴うことから不安で躊躇する方や、やりたくないと拒否する方も多いです。そんな中、「キャリアアップしたい!」「挑戦してみたい!」など前向きに考えてくれる人であれば、企業も今後の成長のために採用を積極的に行うと考えられます。
かかりつけ薬剤師などの対人業務を積極的に行う意欲のある方
クスリのアオキで求められる薬剤師としてかかりつけ薬剤師など対人業務を積極的に行う方が挙げられます。なぜならば、診療報酬改定による減収対策、生き残れる調剤薬局としてかかりつけ機能が備わった経営を行っていく必要性があるからです。クスリのアオキではかかりつけ薬剤師によるお薬の一元管理をはじめとした地域医療への貢献が求められています。かかりつけ薬剤師になるための地域活動として健康相談会や認知症カフェへの参加などイベント参加への積極性も重要視されると考えられます。
セルフメディケーションのサポートを積極的に行うことができる方
クスリのアオキで需要のある人材はセルフメディケーションのサポートを積極的に行うことができる方です。なぜセルフメディケーションが必要かというと、少子高齢化の進展や医療費抑制のためセルフメディケーションの需要が高まるからです。クスリのアオキは企業として専門性の強化と品揃えの充実を進めています。未病や予防もドラッグストアとしての使命であり、セルフメディケーションと医薬分業の受け皿として地域に密着したかかりつけ薬局を目指し、共に歩んでいける方を求めています。
在宅医療や介護に興味があり、積極的に取り組める方
クスリのアオキが求めている人材として在宅医療に興味のある方が挙げられます。すでに日本の人口に占める高齢者の割合が増えてきており在宅医療の需要が高いことが理由です。在宅患者さんへの訪問指導はもちろん、ドラッグストアとして介護用品の相談や専門家としてのアドバイスができることで、地域住民へ大きく貢献できます。他社のドラッグストアでも的確にアドバイスを行える方は少ないため、介護や在宅に強いのは転職活動において武器になります。
クスリのアオキへの転職で登録すべき転職サイト5選
ドラッグストアの求人を多く持っている転職サイは比較的多くありますが、反対に全然ドラッグストア求人を持っていない転職サイトもあるため注意が必要です。
ドラッグストア業界は現在、業績も人気も伸ばしている業界になります。ドラッグストア業界はキャリアが様々あり、給与水準も高いためオススメの転職先です。ドラッグストア業界に転職を考えている場合、登録必須のおすすめ転職サイトをご紹介します。